―――堕ちる  03





きつく目を瞑り、身体を仰け反らせる。
まだ濡れて光る白い喉を見せつけるように。

「…ん、…く…ぅ……」

少しだけ唇を開いて、声を零した。
身体をくねらせれば、ごくりと唾を飲み込む音が上から降ってくる。

どうすれば淫らに見えるのか―――それはキースから嫌と言う程教えられた。
そんなものが役に立つ日がこようとは思ってもいなかったし、嬉しかろう筈も
ないのだが、この男たちを手玉に取らなければ己の身が危うい。

僕は自ら男たちを誘った。



椅子の前にしゃがんだ男が、勃ち上がり始めた僕を銜えた。
濡れて生温かい感触に一気に芯が通り、固くなる。

背中を駆け上がった快感のままに、びくりと震え天を仰ぐ。
突き出す格好になった胸をいっぺんに抓まれた。
抓んだ先を擦られ、更に仰け反る。

「―――っくぅ…!!ん…ぁぁ…!」

肩と両手両足は複数の腕に掴まれたままだったから、僅かに動く膝を開き
腰を突き上げた。
男たちの視線が、股間に胸に刺さる。
押し殺した声で感に堪えないといった風に顔を振れば、僕を嬲る手が舌が口が
激しさを増した。

「や……んんっ…ぅ…!!」

僕を荒い息が取り囲む。
見下ろし嬲る男たちは、空いたもう片方の手で自身を扱きだしていた。

実際に与えられる刺激以上に感じている振りはするけれど、まだ声は上げない。
唇を噛んで必死に堪える―――『その顔が男の劣情を煽る』とあの冷たい男は言った。

『それが次第に変わっていく。身体に引き摺られて蕩けていくお前の顔は、
 高級娼婦も敵わないな。本当に淫らだ……』

深いところに灼熱を隠した、あの男の声と言葉が蘇る。
その後に押しつけられる地獄のような快楽の渦までが思い出され、ゾクンと背筋が震えた。
それを隠さず、また身体を揺らす。

「あっ、や…ぁ…!…くぅ…っ」

抓まれた胸の先も、平たい胸を揉む手の平も愛撫と言うには力が入り過ぎて、痛い。
僕を銜える口も、舐めるよりも吸い上げる様で。
これは男たちの余裕が無くなっている証拠だと、内心で笑った。

―――もう一押しだ。
僕は震えながら、薄く目を開く。
右胸を弄る男を見上げた。

「…たまんねぇ…」

そう呟いて、熱を帯びた固いものを僕の肌に押し当てる。
先走りで滑る先端を何度も擦り付けた。

「俺も」
「俺のもだ…!」

白や黒、沢山の肉の棒が肌を這う。
びっちりと周囲を囲む身体から発せられる熱に、汗が噴き出て擦り付けられる
先走りと混じった。

「ん…っ、んんっ…―――っ!ああっ!!」

後ろに指を入れられた。
銜えられた茎を伝った唾液に塗れていたから、あまり痛みはない。
足の間に屈んだ男が顔を離す。
僕は足を開き、指を押し込まれた部分を曝した。

「あっ、あ…ぁ…、ぅあ…」

ぐちゃ、ぐちゃと云う音に合わせて声を上げる。
もう声を殺すことはない。

「あぁ…は…んう……あああっ!」

感じるままに悶え、動ける範囲で身体をくねらす。
口の変わりに僕を嬲りだした手の平が生む快感に身を任せた。

「ああっ…!や…も……、はぁ…っ!イ…イク…ぅ!」
「いいぜ!出して見せろよ…!」
「も……、あっ、あっ…あ―――っ!!」

ガクガクと震えながら、白濁を吐き出す。
2度3度と腰を突き出し、溢れるものを見せつけた。

「はぁ、はぁ…―――やっ…!」

押しつけられている男たちのものは勿論、抓んで撫でる手も動きを止めない。
イったばかりの僕には過ぎる刺激に、逃げるように身体を揺らした。

「今度は俺たちの番だろ…?」
「イヤっ…!止め……ん…ぅ…」

萎えた僕は扱かれ、後ろに入れられた指の出し入れが早くなる。
あっという間に感じ始めた身体に嫌悪感を覚え、涙が溢れる。
無論、堪えることなどしない。

「おい、泣く程良いのか!」
「嫌、やだ……あ!」
「何が嫌だ…!こんなに乳首押っ立ててよ!」
「イったばかりだってのにもうビンビンだろうが!」

揶揄する言葉に頭を振る。
すると髪を鷲掴みにされた。

「感じまくってる可愛い顔を見せろよ!」
「や!―――ぁ、あ…んぁ、ああ…!」

胸を抓んで揉みしだかれ、時折引っ張られる。
勃起させられた僕を1人が握って扱き、別の手が柔らかい先端を撫で回した。

「んん―――っ!!はぁっ!」

キースの時とは違う、乱暴で想像の付かない快感の強さに一瞬流されそうになる。
だが、此処で溺れたら何をされるか分からない。
僕は必死に正気に縋り付き、波をやり過ごそうとした。

「はぁ、ああっ…、んっ、も、あああ…」

顔を振ると涎が零れ、首筋を伝う。
それを熱い棒で塗り拡げられた。
気持ち悪いとは思わなかった。
その刺激さえ、感じてしまう。

「へへ…気持ちいいみたいだな、お姫様よ…!」
「あ…あっ……は―――」

―――早く…。

唾液を塗り込めた男を見上げ、呟いた。
初めて発した媚びた声に、男たちが息を呑む。
ぐるりと濡れた瞳で見回せば、堪えきれなかったのか、1人が僕の顔の前に出、
自身を数回扱き、ドロリとしたものを吐き出した。

勢い無く胸に落ちる白濁を見ていたら、萎えたものを口に押し込まれる。
青臭い雄の匂いが喉にまで広がる。
けれどそれは慣れたもので、僕はそれを嚥下した。
更に音を立てて男のものに舌を絡める。

「―――っ!」

男たちが次々に白濁を降らせてくる。
そうして顔に唇に押しつけられる濡れたものを、僕は銜えた。
首、胸、腹、太股―――そして勃立した僕自身が白く染まる。

「…もっと…」

唇の端に付いた白いものを舐めとり、誘った。
もっと乱れさせて、もっと吐き出してみせて…と。

男たちはすぐに手の運動を再開する。
僕の云うがままに―――。



殆どの男たちが2度目の精を放った頃には、僕は酷い形になっていた。
全身、髪にまで白濁が飛んでいる。
その上、弄られすぎた胸も自身も赤く腫れている。
痛みとあまりの匂いに目眩がしたが、全員に犯されることを思えば
どうということはない。
乱れた息を吐く僕の頬を今しがた放った男が、愛おしげに撫でた。

「―――凄いショーだな、小僧」

言葉を投げかけたのは、一番最初に僕を犯そうとした黒人だった。
少し離れた階段の一番上に座り、笑って僕を見つめている。
逞しい足の間で隆と勃つ黒いものに、彼が先程までの馬鹿騒ぎに
混じっていなかった事を悟り、唇を噛んだ。

「……っ!」

歩くたびに揺れるものを隠そうともせず、僕に近づいてくる。
身体に見合った凶器に寒気がした。

僕の傍らに立ち、顎を掴む。
食い込む指の力に顔が歪んだ。

「中々面白いもんだったが、駄目だぜ…?」

指導権は俺たちにあるんだ。
お前じゃない。

唇が触れる程顔を寄せられ、低い声でそう告げられる。
歯がカチカチと音を立てた。
僕は震えていた―――恐怖に…。

「第二ラウンドの始まりだ…!中に戻れ!」

男の怒声が辺りにに響いたのだった。
まだ、夜は明けない。






























--------
20081115