rebirth
メ サ イ ヤ
衝撃と共に胸に走ったのは痛みではなく、熱さだった
次第に赤く染まってゆく服を見て、初めて撃たれたのだと知る
鼓動に合わせて、血が吹き出てくる
自分の知識が、既に救命は不可能なレベルと判断を下す
負けた、か・・・
不思議と悔しいという感情が湧き上がってくる気配は無い
引き金を引いたというレイは、顔をぐしゃぐしゃにして泣いていた
泣きながら謝っていた
あの顔には覚えがある。どこでだったろう?
レイはかなり小さい頃から手がかからない子で
こんな風に声を上げて泣くのを見たのは初めてだった
では、どこで・・・・
思い当たったのは、自分の幼少時代の記憶
泣いた理由は覚えていないが、ボロボロ涙を零している自分の姿を鏡で見た
見せられたんだ・・・・・・・・
いつの間にか傍に来ていたレイに
もう泣くことは無いと言ってやりたかったが声も出ないようだ
泣きじゃくる幼い自分に、誰かに慰められた記憶はない
いつも泣き疲れて眠ってしまっていた
それはとても寂しかった・・・・・
誰かレイを・・・泣くのを止めさせて欲しい
しかし、どうしたら涙を止められるのだろう?
タリアが動いた気配を感じる
レイの一言がはっきり耳に飛び込んできた
「・・・おかあさん・・・!」
それきり耳も聞こえなくなった
視界が暗くなる
何も、見えない
(2006/1/12)