毎日が蜜月








ハーレイは最近機嫌がよかった。


部下達は元より強面のハーレイを恐れている節があるので気付いてはいない。
ハーレイの心を代弁するならば会社の廊下をスキップしながら進みそうなほどの
気分だったのだ。

しかし、ハーレイは自制というものを身につけている。
対、ブルーに関して見事なまでに自制した過去があるハーレイにとって容易い事だった。
有頂天な心持でいながらも顔にも態度にも出さずに仕事をするハーレイは見事としか
言いようがなかった。
寡黙な性格が一因となっているのも大きい。


蜜月だった。


以前から恋人だったブルーとの絆を深め一週間がたつ。
相変わらず仕事上は社長と秘書の関係だったが、仕事が終われば二人の空気は色を変える。
喩えるなら白からピンクへ。

朝食をブルーと摂る習慣は相変わらず変わる事はないがただ一つ変化があった。
それはハーレイがブルーの部屋に泊まる日があるということだった。

ブルーの部屋に泊まる。
それは、ブルーとの関係の変化を意味している。
ブルーの体はハーレイのように丈夫ではない。
sexをする時も回数をこなすのは控えようとハーレイは行為の前に常に肝に銘じているのだが
いざ、その場になると中々実行できないでいた。

あの人を前にして考える余裕など出来る筈がない。

ハーレイは部下に2日後の取引先との会議の予定を指示しながら、ブルーの痴態を思い出していた。



「も、ハーレイっ、無理・・・」

擦れた声でハーレイを引き抜こうと身動ぎするが、熱に魘され頬を染めるブルーに
理性は瓦解した。
腰を捩る仕草が、吐き出す息が、甘い芳香を撒き散らす熟れた果実にしか思えなかった。
逃げる腰を捕まえハーレイは突き上げる。

「あ!あぅ・・・は、ハーレイ!」

今だ固さを保つハーレイに驚きながらも小さな体は抵抗なく受け入れていた。

「すいません、止まれないっ」

ハーレイはブルーの項に吸い付いた。

「んんっ」

ハーレイの口付けは徐々に上がりブルーの耳朶をかりっと齧った。

「ああっ!!」

ブルーの悦楽に溺れた声が鳴る。

ブルーの耳が性感帯の一つだと知ったのは2度目の性交の時だった。
以来、ハーレイは事の際、ブルーの耳を刺激するのを忘れない。
ハーレイの赤い舌が蛇のようにブルーの耳の入り口に侵入した。

ブルーは極上の酒だった。
全身でハーレイを蕩けさせる。
熟成された芳香はハーレイという虫を誘うのだ。

ハーレイを受け入れるブルーの肉壷がきゅっと締め上げる。

「つっ・・・」

蠕動するブルーの肉はハーレイの精を搾り取ろうと動きを激しくさせる。
ハーレイは砂糖に群がる蟻のようにブルーを求め突き進んだ。

「ブルーっ!!」
「ああっ、ぅんん!ハーレイ!」

熱の放出が終わってもハーレイはブルーを離さなかった。

溶け合った汗も、ブルーの吐き出された精も汚物ではなく、ハーレイにとっては
高級レストランの食事よりも勝る美味なものだった。

「無理をさせてすいません」

ハーレイはブルーの額に口付けた。
うっすらと浮かんだ汗すらも、ハーレイにとっては酒よりも強い酔いをもたらすのだ。

「う、ん。ハーレイはいっつも口だけだ。止めてくれたためしがないじゃないか」

ブルーはスモモのように色を強くした唇を尖らせてキスを強請った。
ハーレイがブルーのサインを見逃す事はなくなった。
愛しさから込み上げる笑みを浮かべたままハーレイは口付けを送った。
ちゅ、と。
重なる音がして離れた。

「ハーレイ。もう、抜いてくれ」
「あ、はい」

ハーレイは萎れた自身を抜き取った。

「ぅん・・・」
「明日は昼からの会談を予定していますからゆっくり休んでください」

額に付着したブルーの美しい銀糸の髪をかき揚げる。

「その調整で少し、仕事が終わるのが遅かったのか」

ブルーの熱を持った指とハーレイの太い指が絡まる。

「ええ」
「公私混同じゃないか」

くすり、とブルーは笑う。

「私は処罰されますか?」
「そうだな。明日は君の入れた紅茶を飲ませてくれ」
「はい」

ブルーはハーレイの手を握ったまま眠りについた。





もうすぐ、ブルーが目覚めるだろう。
ハーレイは紅茶の準備をしなくてはなと腰をあげようとした。

「妄想に耽ってる所悪いけど、ハーレイ」

腰あげ立ち上がった瞬間、目の前の人物に気付いた。
ブラウだった。

「ブ、ブラウ・・・一体なんだ」
「ニヤニヤしちゃってばればれ何だよ。今は仕事中だろ?」

ハーレイはそれほど顔に出ていただろうかと頬の筋肉を触った。

「ま、あんたの部下達は気付いてないみたいだけどね。私とあとゼルにエラ、
 ヒルマンは気付いてるよ」

気付いているよ。

「そ、それは何に・・」
「お見合いの話は私から断わっといたよ。それより良かったじゃないか。
 社長とこい・・・むぐっ」

ハーレイは隠そうとしないブラウの口を大きな手で隠した。
二人ならばまだいいが今は部下もいるのだ。
ブラウは大らかでさばさばしている性格をしている。
それはハーレイも好感を持てるのだが、周囲を気遣ってくれという願いもある。

「今は仕事中だ後にしてくれ」

ハーレイはブラウに言いながらも、何事だとこちらを伺っていた周囲に視線を向けた。
強面の顔はこんな時役に立つ。
ハーレイの低い声と眉間に皺の寄った顔の一睨みで部下達は仕事を再開した。

ハーレイはブラウの口を覆っていた手を離した。

「ぷはっ、いきなり何するんだい!」
「私はこれから社長室へ行かなければならないんだ。話はそれからにしてくれ」
「そうかい。わかった。けど、今夜予定空けておけよ。皆でお祝いしてあげるからさ、
 そのときに話を聞かせてもらうよ。社長には上手く言っときなよ」

じゃあね、とブラウは部屋を出て行った。
ハーレイは全くと、一つ息を吐いて社長室ではなくブルーの部屋へと向かった。

ブルーはまだ、眠りの中にいた。
ハーレイが横に立っても気付いていない。
それほどまでに疲労させたのだろうか。
どこかで歯止めをしなければブルーの健康にも障ると分かっている。

本当は毎日でもブルーを抱きたいのだ。
まだ悦に入る前の淡い唇にキスをする。
口内を探り舌を吸い上げる。
その際にしがみついてぎゅっと耐えるような表情をするブルーに尚煽られるのだ。

服を脱ぎ捨てれば染み一つない肌がハーレイの視覚を楽しませる。
白い肌の胸元にはぷくりと立ち上がったさくらんぼのような果実が2つ。
舐めて、吸って、甘噛みすれば色を濃くしてハーレイにもっとと強請って大きくなるのだ。

ブルーは体の中心にある臍も性感帯になる。
母の胎内で命を繋いでいた名残の窄まりに舌を這わせると、うんっと手足を攣るように
反応するのだ。
その際わき腹を撫でるのも忘れない。

敏感になった体は触れただけでもこそばゆさより快感を作り出す。
そして、銀の叢の奥にあるブルーの陰茎。
褐色のハーレイのものとは全くの別のもののよう見えてしまう。
ブルーの小柄な体に対しては標準サイズになるそれはハーレイのものと比べると
小さいものになってしまう。

しかし、ハーレイは愛しさを隠せない。
亀頭にキスをし愛撫する。
んんっ、と吐息混じりの声を上げブルーは地上に上げられた魚のように跳ねる。
子供の頃溢すまいと夢中で食べた棒アイスを楽しんでいた頃を思い出したりもした。

袋を揉み込み、竿を舐め上げる。
先走りに零れた液体も漏らすまいと舐め取るのだ。
あっ!というブルーの感じ入った声と共に吐き出された液体をハーレイは飲み干す。
不味いだろうとブルーは言うがハーレイはそう思ったことはない。
ブルーのものは何でもハーレイを酔わす甘露となるのだ。

そして、ハーレイを受け入れてくれるブルーの秘所。
小さな小さな秘められた場所はハーレイを受け入れようといつも必死になってくれていた。

初めての行為以降決して傷つけまいとハーレイは慎重に慣らして行く。
器具を使い拡張する方法を提案した事もあったがブルーの酷い拒絶に実行に移ることはなかった。
提案した日はブルーの怒りに最後まで出来なかった。
それが苦い思い出となりハーレイが器具の事を口にする事はなかった。

ブルーは痛くてもいいんだと言う。
けれど、初めてのときにシーツを汚した鮮血がハーレイの頭にこびり付いて離れないのだ。
今は、専用のジェルを使い時間をかけてゆっくりと解していく。

徐々に指を増やし肉襞を分け入る隙間を作っていく。
もう、3本目が入る頃にはハーレイの我慢も限界になる。
勃起したハーレイのペニスがブルーの中へ入りたいと叫ぶのだ。

ブルーもハーレイの様子を知っているからこそ足を開き腰をあげ、入れてくれと誘う。
挿入時、やはり痛みはなくならないのかブルーは苦しげに眉を下げるが
止めろとは言わない。
力を抜こうと必死で息を吐きハーレイが痛みを感じないように努める。
愛しさが止まるはずはないのだ。
愛されていると感じるからこそ、ハーレイはどうにかして痛みを感じさせない方法を
考える事を止められないのだ。

律動を繰り返しながらブルーはハーレイの背中に腕を回す。
逃さないとでも言うように足でハーレイを捕まえる。

ハーレイは激しく腰を動かしながらブルーへのキスを繰り返す。
上唇を舐めあげ、下唇をかむ。
額、目尻、鼻と動くたびにキスをする場所は変わっていく。

熱に蕩けた赤い瞳でブルーはハーレイを見上げる。
全て記憶しようとでも言うのかというほどブルーはハーレイの表情を眺めているのだ。

ブルーの体内で吐き出した熱は何かを生み出すはずもない。
それでも、ブルーはハーレイを求めハーレイはブルーを求める。

好き。
大好き。
愛しい。
愛している。

毎日、毎日思いは萎れる事無く募っていくのだ。


これを幸せと呼ばなくて何を言うのだ。





「起きてください」

ハーレイの低い声でブルーが目覚めた。

「おはよう」

若干擦れた声でブルーは陽だまりの温かさで微笑んだ。

「おはようございます」

想いは枯れない。





「ブルーのお望みのままに紅茶を煎れておきました」
「ありがとう」

ブルーが美味しいよと一口、口に含み感想を告げてくれる。
これは、あなたへの想いを隠し味にしましたからと我ながらくさい台詞をはき
ブルーの目元にキスをした。
「恥ずかしいね」といいながらもブルーの顔は満更ではないと言っていた。

「体の方は大丈夫ですか?」
「少し、だるいぐらいかな。誰かさんが中々止めてくれないから」

悪戯を仕掛けるようにブルーは言う。

「すいません。セーブしようと思うんですが」

ハーレイの真面目な切り返しにブルーはハーレイの額をぺしりと叩いた。

「っ!」
「冗談なんだから真面目に答えなくていいよ」
「すいません」
「また、謝った。体は辛いよ。まだハーレイが中にいるみたいだし。
 でも、これは僕が望んだ事でもあるんだ。ハーレイがくれる痛みなら嫌じゃないよ。
 それに痛みを感じる分快感も一層強いからね」

何事もないかのようにブルーは言葉を紡ぐ。
ハーレイは喧嘩ではないがブルーに言い負かされぐうの音も出ない。

「赤くなった。照れてるの?ハーレイ」

意地悪な笑みにハーレイは知りませんとそっぽを向いた。
「ふふ」とブルーの心地よい耳に残る声を聞きながらハーレイは知らず顔を綻ばせていた。

「今日も泊まって行くよね?」

ブルーの問いに即答したかったハーレイは顔を顰めた。

「すいません、今日はブラウ達に飲みに誘われたんです。遅くなると思うので家に帰ります」

ブルーは空になったカップを置いた。

「じゃあ、終わってからでいいよ。エッチは出来ないけど一緒に寝たい」

もう、私を喜ばすようなこと言わないで下さい。あなたは私の心の琴線をよくご存知だ。

「遅くなりますよ」
「いいよ」

ブルーはハーレイが望む笑顔を見せた。






居酒屋『シャングリラ』





白を基調とした店内の個室でささやかな宴会は開かれた。

「仕事お疲れ様!そして、ハーレイの恋の成功を祝って乾杯!!」

ブラウの声に生ビールのジョッキが音を立てた。

もし、この場に一般社員がいたならば恐縮し緊張した事だろう。

企画開発室のブラウ。
総務部長のエラ。
技術室の長老と呼ばれるゼル。
営業部のヒルマン。
そして秘書のハーレイ。

会社立ち上げ時からのメンバーであり平社員にとって恐縮を引き起こす人間達だった。

「いやあ、まさかあんたが社長と恋人になるとは思ってもいなかったよ」

半分まで飲んだジョッキをテーブルに置いたブラウが楽しげに言う。

「でも、社長はハーレイの事好きでしたよね」と、エラがほんわりと笑みを浮かべ
ハーレイに同意を求める。

「ふん!何を祝うのかと思えばっ」

枝豆を口内に含みゼルが吐き出す。

「ゼル。今日私に嬉しそうに報告してきたじゃないか」

ヒルマンはゼルが昼休みに私に電話してきてね。
ようやくハーレイが納まるところに納まったわいと嬉しげに言っていたじゃないかと
告げ口をする。

「ゼルは妬いてるんだよね、ハーレイに」

ブラウがにやりと笑う。

「ち、違うわいっ!」
「素直になったらどうです?」

だし巻き卵を小皿に乗せたエラがゼルの前に置いた。
「すまんな」と礼を言う事は忘れない。

「それより、どこまで言ったんだよ」

何時の間にか2杯目に移っていたブラウが興味深げにハーレイを見ていた。

「ぶっ!」

ハーレイは飲み込んだビールを危うく吐き出す所だた。

「ブラウっ。そんな事聞くなんて無粋ですよ」

エラがはしたないと窘める。

「エラだって本当は気になってるくせに」知ってるのよ社長に憧れてた事ぐらい、と。
ブラウはエラの体を小突いた。エラは少し頬を赤らめた。

こうなるとブラウの独壇場だな。

「黙秘権を行使します」

ハーレイの場を考えない真面目な答えにブラウはそんなの却下と一刀両断した。

「酒よ!酒!ハーレイを酔わせて白状させるのよ!!」

ブラウは店員に一番強い酒を持ってきてと注文した。
ゼルとヒルマンはあの頃はと昔を懐かしむかのように酒を交わしていた。
エラはブラウの暴走を止めるには役不足だ。

「ブラウ!いい加減にしてくれ!!私はこの後・・・」

ブルーのと続けそうになったハーレイは慌てて口を閉ざした。
ブラウがハーレイの油断を逃すはずもない。

「社長のとこに行くのね!」

ブラウの指差しを窘めてハーレイは黙秘した。

「ブラウ、ほんと止めないと他のお客さんに迷惑ですよ」
「いいのよ、そんな事!こうなったら意地でもはかせるわよ!」

ブラウの中で当初のハーレイの恋の成功を祝うという目的は遠い彼方に消えていた。
酔いの勢いに任せ堅物なハーレイと王様面したブルーが一体どんな風に接しているのか
気になることを追究する思いしかなかった。

「ブラウ!」

エラの制止は意味をなさなかった。

そんな3人を尻目にゼルとヒルマンはひっそりと会話を進めていた。
いつのまに一升瓶が二人の横に置いてあった。

「会社も大きくなったし最近思うんだよ。そろそろ引退時じゃないかとな」

ヒルマンはゼルのコップに透明な酒を注ぎ足した。

「何を言うんだ。まだまだ、若い者は君の技術を全て吸収していないじゃないか」
「ふん。どうせ若いもんは口煩い爺だとおもっとるわい」
「尊敬しているんだよ。役職にも就かずずっと職人としている君を軽んじるものはいないよ」


「こらっ!何拒んでるのよ!飲みなさい!」
「うっ、ふがっ・・・」
「ブラウっ。ほんと止めなさい!!」

部下達が見たらある意味逃げ出すような饗宴は日付が変わっても続いていた。






ハーレイは酔いに覚束ない足どりながらもブルーの住む会社にまで辿り付いた。

ビールに始まり焼酎、日本酒、ワインとチャンポンにされ体はよろよろしている。
それでも、ハーレイはブルーに会うためにエレベーターに乗り込む。

ハーレイは何とかブルーとの詳しい仲を話すことはなかった。
いつしか、飲み比べになっていたことも助かった。

当分、ブラウとは酒は飲まん!

ハーレイは強く決意した。


ブルーの部屋へとエレベーターはハーレイを運んだ。
もう眠っているだろう。
ハーレイはそう考えていた。
しかし、ハーレイの予想に反してブルーの部屋は明りが点いていた。

ハーレイはゆっくりと足を進めていく。
寝室に入ったハーレイを迎えたのはベッドに入り本を読んでいたブルーだった。
ベッドヘッドに背を預けている。

「お帰り、ハーレイ」
「ただいま」

いつもの調子でブルーはハーレイに声をかけた。
左手には読みかけの本を持っていたが、ハーレイが帰ってきたことで栞を挟み本を
閉じた。

細い銀のフレームのメガネをかけていたブルーのレンズ越しの赤い2粒の宝石が
ハーレイを映していた。
眼鏡をかけることを知ったのはつい最近だった。
泊まるようになって初めてブルーの眼鏡姿を見たのだ。
裸眼でも見えるらしいのだが、小さな活字を追うには少々難があるのだと教えてくれた。

今まで知らなかったブルーを知った瞬間だった。
いつも仕事や二人の時間とは違うブルーの姿をハーレイは至極気に入っていた。

「遅くなりました」
「いいよ。僕が勝手に待っていただけだし」

ブルーは閉じた本をベッドの横にあるサイドボードに置き、眼鏡を外しケースに仕舞い込んだ。

もう少し、見ていてもよかったな。

「大分酔ってるようだね」
「ええ、ブラウのお陰で大変な目にあいました」
「はは。今度は僕も呼んで欲しいものだよ」
「言っておきます」

ブルーを前にすればブラウも無茶はしないだろう。
エラに偉そうに言っていたがブラウも同じようにブルーに仄かな憧れを抱いていたのだから。

「お風呂に入ってくるかい?」
「いえ、今日はこのまま寝かせてください」

ハーレイはブルーのベッドに倒れこんだ。

「着替えと歯磨きをするなら許可しよう」

上体をベッドに預けたハーレイを見下ろしブルーは笑う。

「仰せのままに」

ハーレイはブルーにキスしようと体を起こしたが止めた。
酒臭いのを忘れていた。

「ハーレイ?」

ハーレイからのキスを待っていたブルーは突然のハーレイの停止に首を傾げる。

「歯磨きしてきます。後着替えも」

10センチの距離を広めてハーレイは完全に立ち上がった。
ブルーはハーレイの左手を掴んだ。

「ハーレイ」

名を呼ぶと同時にブルーはハーレイの体を引き込んだ。

「え?」

声と共にブルーからのキスを受けていた。
ハーレイの唇から離れたブルーは言った。

「酒臭くても気にしなくていいよ」

読まれていたのかとハーレイはブルーに平伏した。
やはり、この人には敵わない。

「では、今度はミント味のキスをしましょう」

「楽しみにしているよ」



ハーレイはいそいそと洗面所へと向かった。




甘い、甘い、日常をあなたと過ごせる幸せ。
毎日が蜜月。
あなたの隣で眠りましょう。
大好きな、大好きな僕の、私の恋人。

















---------------------------------------------------- 『遠く、遠く』の遊さまから頂戴しました! ハレブルでリーマンものですよっ(><) 色っぽくて、でも皆二人に優しくて… 長老組が飲み交わす"居酒屋シャングリラ"!! 自分も隅っこに混ざりたいと思いましたv 遊さま、ありがとうございました!