どうして、だれも気がつかないの…?

あんなに見てるじゃないか、彼のことを。
ちょっと時間が空けば……ほら、今も。






『ほら、リオ!』
耳元で囁かれ、視線をソルジャーブルーに向けるが、彼の紫の瞳は
既にスクリーンを見つめていた。
分かりませんでした、と振り返れば、『遅いんだよ〜』とむくれるジョミー。

そのジョミーの視線は、もうブルーを捕らえている。
彼の緑の瞳の中心に映っているのはいつも、白銀の髪を持つ彼で。



私はいつもあなたを見つめているから
あなたの緑の瞳に映える銀の髪を知ってるんですよ

あなたも、私と同じなんですよね…?

尊敬していて、敬愛していて…大好きで堪らない
そんな思いに満ちた視線を、いつもソルジャーに注いでいますよ

ちょっと悔しいんですけれど、でもそんな幸せそうなあなたが好きなんです

あなたもそうですか?
彼に振り返って欲しいけれど、でも、今の幸せそうな顔を曇らせたくなくて。
ホント、困ってしまう、自分の心

あなたの笑顔を見ると
あなたを欲しいと願う心は苦しいけれど……
同時にあったかくて
寂しいけれど、幸せを感じてしまって
本当に困ってしまうんです

ジョミー、あなたも―――あなたもなんですね
苦しい恋をしている

ソルジャーを見つめるあなたを見ていると
私の心は甘くて、苦くて、でも温かい



ジョミーの視線を追ったリオは、ブリッジの中央に立つブルーに辿り着く。
静かにスクリーンを見つめるブルーの先、リオはハーレイに気が付いた。
その瞳にジョミーや自分と同じ熱を認めて、リオは息を呑む。

「キャプテン!」
名を呼ばれたハーレイが視線を逸らした。
途端、それを追うようにブルーがハーレイを見る。
微かに微笑んだ横顔は、それはそれは幸せそうで――――



ああ
ジョミーが言っていたのは……



リオは振り返る。
予想通りの幸せそうなジョミーに、微笑んだ。

シャングリラのブリッジに、柔らかくて温かい空気が流れる。


















----------------------------------- ブルーが居て ジョミーが居て ハーレイが居る 20070710