sweet sweet stories 04
明るい光に目を覚ました。 窓を見やれば、まん丸い月が輝いている。 カーテンが揺れているところを見ると、どうやら開けたまま眠ってしまったらしい。 日中はまだ暑いが、この時間入り込んでくる風は既に秋の眷属で。 部屋はひんやりとした空気に満たされていた。 行為の後、睡魔に引き摺られるように瞼を閉じてしまったため、肌掛けは足元に 畳まれたままだった。 寒いのだろう、隣でパジャマの"上"一枚の格好のブルーは、ハーレイの脇の下に ぴったりとくっついて丸まっていた。 "下"だけを身に着けたハーレイはそうっとケットを手繰り寄せ、華奢な肩に掛けてやる。 「…ん…」 身動ぎするものの起きる気配のないブルーの隣に横たわる。 軽く起こした頭を手で支え、顔を見下ろした。 瞼を閉じた顔は、とても幼く、力無いもののように見えて。 あまりの可愛らしさに、ハーレイは白い頬に唇を落とす。 それだけで眠ってしまうつもりだった。 明日もお互い学校があるのだから。 けれど―――。 熱が上がる。 それはあっという間に炎に変わって燃え上がり、内側からハーレイを焦がした。 堪えることなんて、とても出来ない。 時計を見れば1時を少し回ったところだった。 まだ大丈夫だ…。 ハーレイは手を伸ばした。 唇を啄みながら、双丘の間に指を這わせる。 数時間前に貫いた、まだ少し腫れた部分に触れた。 くいと力を入れれば、指は難無く入り込む。 「んっ…?!センセ…何し……あっ!んああっ!」 姿を現した暮れ方色の瞳は最初こそとろんと眠たさを漂わせていたが、 自分の身体に与えられている刺激に見開かれた。 中指を出し入れすると、ハーレイの残滓がくちゅくちゅと音を立てる。 唇で唇に触れたまま、低く小さな声で呟いた。 「欲しい…」 「さっき寝る前に…んぅ、した…!」 「また、欲しくなった…」 「やだ…やめ…、センセ…ん…っ!ああああっ」 逃げようとする身体にのし掛かり、尚も指を動かす。 触れた途端びくっと震えた箇所を揉むように押した。 芯が通って固く勃ち上がったブルーのものが、腹に触れる。 ハーレイはずるりと指を引き抜くと、濡れ始めたブルーを掌に包んだ。 「ブルーも…熱くなってる」 「セン…ハーレイが、そんなこと…す……ああっ、あっ!」 銀糸が左右に揺れる。 反り返るブルー自身を扱き、先端のスリットを人差し指で開いた。 「やぁあああっ!ああっ!」 「…いや…か…?」 本当に? 至近距離でそう問うてくるハーレイの瞳。 見つめられただけで焦げてしまいそうな程熱い。 その熱さに自分がどれだけ求められているかを知ると、ブルーはもう抵抗 出来なくなる。 「そんなこと―――あるわけない…」 その言葉をようよう絞り出した。 目を伏せ、唇を噛む。 恥ずかしくて堪らない。 抱いて欲しいと言ったようなものなのだから。 眼下で震える睫に、染まる頬に恥じらいを見て取ったハーレイは顔を綻ばせた。 もう知らない場所など身体中何処にもないというのに、ブルーは初々しさを 失わない。 「ありがとう」と言いながらパジャマの釦を外し、細い足を開いた。 「や…見ない…で…」 「…うん」 そう答えたものの、青い月の光に晒されたブルーの身体は信じられない程美しくて、 淫らだった。 「ハーレイ…っ!」と押し殺した声で叫ばれ、後ろ髪を引かれる思いで視線を逸らす。 膝裏を掴んで拡げ、ゆっくりと腰を進めた。 「あっ、あっ…、んんっ、あ…ぁああっ!」 「まだ…柔らかい」 ハーレイの大きなものをすんなりと呑み込んでいくブルーの秘所は、温かくて 湿っていて。 吐精したまま眠ってしまった為に中に残るものがローションの役割を果たして いるようだった。 奥まで入ったところで動かないでいるとジワジワと締め付けてくる。 それが快感を生み、ハーレイの背筋を駆け上がった。 「んっ…ハーレ…っ、それ…やっ!」 大きく脈打つ。 それを中で感じて、ブルーが叫ぶ。 すぐに達してしまうのが惜しくて、ハーレイは腰を揺らし始めた。 足を抱え更に深く繋がる。 あの場所を抉るように責め立てると、ブルーの中が締め付けだけではない、 絞り取るような動きに変わった。 ねじ込んだ自身から生じる痺れるような快楽に呑み込まれ、ハーレイは腰を穿つ。 胸も、涙を流すブルー自身をも愛撫する余裕がなかった。 もうあまり持たない。 「あっ、あっ…い…イク…っ!」 前立腺だけを狙って突いた。 白い喉が仰け反り、数時間前に残した吸い痕を月光が照らす。 「ああっ、あ…!も…イ…ク…っ……ああああああっ!」 二人の中心で、薄くさらりとしたものが弾けた。 それはブルー自身を伝い、繋がっている部分に流れ込む。 水音が大きく早くなり、ハーレイの顔が淫らに歪んだ。 嫌と言う程締め付けられ、堪えきれずに腰を揺らしながら最奥に叩き付ける。 ブルーの中に、全てを放った。 「…はぁ、はぁ、ぅ…んっ、ハーレ…イった…?」 舌っ足らずな問いに「ああ、気持ちよかった」と答えると、汗の浮かんだ白い顔が くしゃりと笑った。 その笑顔にまたぞろ熱が上がるのを感じ、慌てて自身を引き抜く。 ハーレイの様子に、ブルーがまた笑った。 「今日は…おしまい…」 「…分かってる。シャワーは…?」 「朝に…す…る…」 あと、お願い…。 それだけを何とか言い切ると、暮れ方色の瞳が瞼の向こうに消えた。 すぐにすーすーという気持ち良さげな寝息が聞こえてくる。 眠る前に抱いたのにまた今も抱いて―――朝もきっと欲しくなる。 どんなに抱いても抱いても、また熱が上がってしまう。 胸に込み上げてくるのは"愛おしい"だけでは足りない想い。 その言葉以上のこの感情をどう表すのか、ハーレイは知らなかった。 だからだろうか。 こうして何かに冒されたかのようにブルーを欲してしまうのは。 抱いて、抱いて、抱いて。 刻みつけるかのように抱く。 彼にも、自分にも。 「愛してる、誰よりも」 ハーレイの呟きは、月の光に溶けた。
------------------------- 20081021 隣にある温もり それがいつもあることの幸せ