んん…っ、ぁあ…!

ブルーは銀糸の頭上に腕を伸ばして、桜の幹に縋り付く。
押し付けられた背中と同様に、ごつごつした表皮が痛みを伝えてくるけれど。
それでも掴まらずにはいられない。

あアァっ…いい…っ…!

深く打ち込まれた楔から押し付けられる快楽を、貪る。
周囲に響く淫靡な水音が、その激しさを物語っていた。

ジッパーを下ろされ、肌蹴られた上衣は肩から脱げ、腕に纏わり付いているだけ。
剥き出しの下半身は左足を褐色の太い腕で持ち上げられ、大きく開かれていた。

ひぃ、アアっ!!

狂いそうだ。
大声で喘ぎながら、ブルーは思う。

秘所を強く突かれ、掻き回され。
普段のハーレイからは想像も出来ないほどの、激しい交わり。

―――いや。

もう、狂っているのかもしれない。
ブルーは、縋り付く桜を仰ぐ。

この、薄紅に。
舞い散る桜に。











桜が、散り始めたね。

ブルーのその言葉に、ハーレイは目に見えるほどたじろいだ。
幸いその場所には二人だけであったので、そんなハーレイは誰にも
目撃される事はなかったが。

交わした言葉はそれだけ。
なのに、その夜二人は逢った―――――桜の樹の下で。

「……来て…しまいました…」
「僕も―――何だか、足が向いてしまった」
「…もうこれまでのような…事は…」
「したくない…?」
「………………」

僕は―――。
ブルーはそれ以上言葉を継がず、桜の樹に背を預けた。
眼を瞑り、胸元に手をやる。

チ…。
ジッパーを下げ、白い咽喉を晒した。
傍でハーレイが息を呑む。
その胸倉を掴むと身体を回転させながら、大きな身体を自分の居た位置へ―――
桜の樹に背中から押し付けた。

膝を折り、ハーレイの下衣に手をかける。
前を寛がせ、制止する間を与えず、彼を取り出し口に含んだ。

「―――ブルー…っ!」

扱きながら、いきなり強く吸い上げる。
苦しげなハーレイの声は、強制的に勃ち上がらせられる所為か。
けれど、その手はブルーの銀糸を掴んでいた。
己の足の間に押し付ける為に。










激しく揺すぶられながら、ブルーは間断なく舞い落ちる桜を見ていた。

これはお前の仕業かい?

そう呟いたつもりだったけれど、口から出たのは高い悲鳴のような嬌声。
ハーレイがブルーの前立腺を狙ったのだ。

たらり。
口の端から零れた雫が、胸に落ちる。
ハーレイの褐色の大きな手はそれを、白い肌と尖った朱鷺色の飾りに
塗りたくった。

やだ…!
もう…出…る……、イ…くぅ…っ!

そう叫んで銀糸を振り乱すブルーは、自身を握り締めた。
白くて細い指が先走りに塗れ、淫猥な音を立て、光る。

物凄く…いい…!
ブルーっ!

ハーレイが唸るように声を出した。
持ち上げた太股と、胸の突起を強く掴む。
ブルーの身体が大きく跳ねた。

やぁっ…!
ひ―――ぁあああ、あアアア…っ!

ブルーが白濁を飛ばす。
それは二人の腹を汚したけれど。
気にする様子も無く、二人はまぐわう。

―――もっと…、もっと…ハーレイっ!

勢い無くだらだらと白濁を吐き出しながら、喘ぐ様は酷く淫らで。

ハーレイは胸を抓り上げていた手で、ブルーの顔を引き寄せる。
指が食い込むほど細い顎を掴むと、己の金髪からも痛みが走った。
ブルーの指が絡みつき、同じように引かれたのだ。

ぶつかるような、噛み付くような、キス。
二人の唇は重なる前から大きく開かれ、真っ赤な舌が覗く。

それが見えなくなった瞬間、数え切れない花びらが舞い散った。

二人を覆うように。
獣のような姿を隠すように。

今宵一夜―――二人は自分のものだというように。





















--------------------------------- 20090111(日記からサルベージ) 桜に導かれ 桜に惑わされ 桜に―――狂う