―― Vous etes plus beau qu'une rose ――
petit03『金の獣』
「犬が欲しいな」
僕のこの言葉に、こちらに向けたハーレイの背中が強ばる。
ソルジャーたらねばならない日常とは異なる僕の声音だ。
それはこの青の間、或いはハーレイの私室でのみ時折発せられるもので。
ちりんと鈴の音が加われば、大きな身体は完全にその動きを止める。
「犬が欲しいよ、ハーレイ…」
再び詠うように云えば、微かな衣擦れの音が聞こえてきた。
ハーレイが着ているものを脱いでいく。
その様を、僕はうっとりと眺めた。
すっかり服を脱いだハーレイが僕に向き直る。
逸らした視線を床に落として、小さく唇を噛み、頬を染めていた。
こっちにおいでと手を伸ばせば、一歩足を踏み出して立ち止まり、
顔を歪める。
―――本当にいい子だ。
細めた目で促せば、ハーレイは膝を折った。
床に軽く握った拳を付き、四つん這いの姿勢で僕に近づいてくる。
ベッドに腰を下ろした僕の足元まで来ると、ぴたりと止まった。
手袋を取り、素手で顎を掴んで上向かせる。
朱に染まった顔の中で、苦しそうに歪んだ瞳は―――濡れていた。
「何、もう欲情してるの」
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20081116
君は薔薇より美しい
何ものよりも
どんなものよりも
美しい
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